ディベート甲子園・HEnDA等の調査型ディベート経験者が即興ディベートを楽しむコツ3つ

この記事はディベート甲子園やHEnDA、あるいは大学でNAFA等の「アカデミックディベート」を経験した人を対象に、そうした人が「パーラメンタリーディベート」を楽しむコツを紹介するものです。

(この「アカデミックディベート」「パーラメンタリースタイル」と呼び方が、その理解をする上であまり適切でないので、私達が所属するCDSではそれぞれ「調査型ディベート」「即興型ディベート」と呼んでいます。)

断っておくと、私自身は調査型ディベートでも即興型ディベートでも、同じ代で最も強かったという訳ではありません。ただ、大学時代にその両方のスタイルを経験し、その両方で一定のレベルの大会で複数のブレイク(決勝トーナメント進出)やスピーカープライズを取ったという人もあまり多くありませんので、その経験を踏まえてのコツを簡単に紹介させて頂ければと思います。(より詳しく知りたい人はCDSに問い合わせて下さい)

まず前提として、調査型ディベートを経験した人が即興ディベートを見たり、実際にやってみると、よりパブリックスピーチに近いプレゼンテーションに格好良さ(あるいはカッコつけ感)を感じつつも「なんとなくふわっとした話をしている(ロジックが甘い)」「判定理由に納得できない」「証拠資料もないのにどうやってミクロに決着を付けるのか」等の違和感を感じるのではないかと思います。

一言で言うと、それらは全て ジャッジの意思決定プロセスの違い に寄るものです。
すごくざっくり言うと、調査型は「論題知識は無いが、意思決定の訓練を積んだプロ」、即興型は「大学卒程度の教養をもつ一般人」を想定しています。調査型の審判は日本の裁判における裁判官のように、即興型はParliamentaryの名の通り議会を見守る有権者に例えられることがあります。

優劣や合ってる間違っているではなく、想定しているジャッジ像が違う故に勝敗の決め方(ディシジョンメイキングプロセス)が異なり、結果としてディベーターのスピーチの内容にも相違点が出てきます。

具体的な例はスライドの中に書いてありますが、大きく3つあります。

1:ジャーゴン(ディベート特有の言葉遣い)を使わず、普通の言葉で語る
例;「解決性がありません」→「〜をしても〜は解決されません」

2:マクロの構造を、インパクト起点に変える
例:「プランによって〜という問題が起こります。この問題は深刻です。
なぜなら〜という権利の侵害にあたるからです。」

「我々は〜という権利はを守るべきであるというスタンスを取ります。
その上で、プランは〜という権利を侵害する、〜という問題を引き起こします。」

3:論理的なわかりやすさだけでなく感情的な「受け入れやすさ」をスピーチに取り入れる
例;「Jobless commit suicide」 → 「失業者は家族を経済的に支えるというような、自分の存在意義を感じられなくなり〜」

調査型で一定の経験がある人であれば、これらの点ができるようになるだけで、試合で勝てるかは別としてと即興型ディベートを楽しむレベルまではすぐにいけるのではないかと思います。できれば経験者と何試合かやってみると良いのではと思います。通常3試合やるとだんだん理解ができてきて、20試合~30試合やるとかなり頭の中を切り替えられるようになります。